認定特定非営利活動法人ペッツ・フォー・ライフ・ジャパン

English

ニュース

【第1回目 実施】姫路少年刑務所・保護犬育成プログラム

法務省 近畿矯正管区と姫路少年刑務所と連携し、受刑者が保護犬の人馴れやしつけを行う「保護犬育成プログラム」を今年8月からスタートしました。受刑者に保護犬の育成に関わってもらうことで、受刑者の責任感の醸成、自己肯定感や社会スキルの向上から、社会復帰と更生へのサポートになります。姫路少年刑務所はもちろん、近畿地方では前例がなく、PFLJにとっても初めての取り組みです。

(プログラムの目的、保護犬へのメリットなどの概要はこちらから)

第1回目の実施では、保護犬3頭を連れ、訪問しました。ふれあいが大好きで、誰とでもすぐ仲良くなれるヨーゼフくん。少し怖がりですが、慣れてくると甘えん坊なルカくん。元野犬で人にも場所にも緊張してしまうきこちゃんの3頭です。

プログラム参加の受刑者は5名。まずは、犬について知ってもらうため、スライドを使って講習です。犬とのコミュニケーション方法、犬の感情やボディーランゲージを説明しました。受刑者たちは緊張した面持ちでスタートでしたが、うなずきながらスライドを見て、話を聞いていました。

講習後、簡単なレクチャーを受け、ヨーゼフくんとルカくんとふれあい実践です。まずは、挨拶をし、優しくなで、おやつをあげて、触れ合っていました。きこちゃんは、PFLJの施設では人に慣れていましたが、環境に慣らすため、会場内に設置したハウス内で待機です。受刑者たちは、自然と腰を落とし、保護犬たちの目をみて上手にコミュニケーションを図ることができていました。はじめは、モジモジしていたルカくんも、おやつをもらい安心したのか、少しずつ距離を縮めていました。「どのポジションで接したら、犬が怖がらないか」 「こんなにおやつをあげて、お腹いっぱいにならないのか」など、受刑者たちから自然と質問が出てき、会話が弾んでいきました。

保護犬たちと仲良くなってきたところで、保護犬についてより知っていただくため、もう一度座学を挟みました。保護活動の現状、保護された経緯、保護できないケース、保護犬たちの社会化やしつけの重要性などをお話ししました。元野犬で人慣れしていない保護犬がいることも知ってもらうため、ふれあいに参加しなかった、きこちゃんの紹介もしました。

改めて、保護犬について意識してもらったところで、もう一度ふれあいをし距離を縮めます。会場の雰囲気、受刑者の犬への対応、ヨーゼフくんたちのリラックス状態を確認し、きこちゃんが参加できそうと判断し、ハウスから出してみることに。初めての場所でハウスから出てこられるか不安でしたが、自分からそろりと出てきて、姿を見せてくれました。犬は人の感情に敏感で、よく周りを観察しています。スタッフも受刑者たちもリラックスした様子だったので、きこちゃんも安心できたのでしょうか。落ち着いた様子で歩き、ルカくんの近くにやってきて、その場でジッとしていました。

「こんなに固まって動かない犬を初めてみた」との声があがりましたが、きこちゃんの表情を伺いながら、優しく触れ合っていました。中には、「抱っこしていいか」との申し出も。きこちゃんの様子を見ると落ち着いていたので、そっと手を回してもらうと、寄りかかるように受刑者の膝の上にふせ、抱っこの状態に。身をゆだねるきこちゃんの姿に、受刑者は目をキラキラさせ、感動していました。スタッフも、予想外のきこちゃんの動きに心打たれていました。

プログラム後に届いた受刑者からの感想文の中には、「きこちゃんが急に背後に来て触れさせてくれ、僕らに心を開いてくれたことに感動した」 「自分の緊張には相手にも伝わると思うので、リラックスして、取り組みたい」と書かれていました。実際、きこちゃんの紹介後、より丁寧に保護犬たちと接している受刑者たちの姿が見受けられました。

ヨーゼフくんとルカくんには、おすわり・ふせ・おてなど基礎的なトレーニングを行ってもらいました。渡した犬のおやつを受刑者同士分けながら、順番にトレーニングし、保護犬たちとの時間を過ごしていました。「おすわり・ふせ・おてなどを聞いてくれ、とても可愛くて、癒されました。保護犬と聞き、想像していた以上に複雑な環境を経験していて、残酷な事実があることを知り、心にくるものがあった」など、素直な感想が書かれていました。

その他、いただいた感想の一部を以下、ご紹介します。
・犬も人間と一緒で感情や気持ちがあると分かり、もっと彼らのことを理解したいと思った。
・自分自身が犬に慣れるために「学ぶ」というところから始めた。犬の感情や特徴を徐々に捉えられるようになり、今までより動物の理解を深めることができたのが良かった。
・どのような経緯で保護犬になるのかを知り、実際にふれあい、自分の犬に対する常識や価値観が少し変わった。
・何があっても保護犬が第一に大切にさせるなら、素晴らしいプログラムだと思った。

プログラムのはじめは緊張して受刑者たちも、保護犬たちと笑顔で接し、緊張がほぐれた様子で、プログラム終了時には、バイバイと言いながら撫でる姿が印象的でした。保護犬たちも、ふれあいやおやつをもらうなどコミュニケーションを図り、初めての人の前でもお利口に過ごすことができていました。受刑者のプログラムに対する真剣に取り組む姿勢、その姿勢に保護犬たちが応え安心している姿から、想像を上回る変化が見られた第1回目のプログラムとなりました。

次回の実施報告もHPで更新いたします。